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木のいのち木のこころ 

宮大工、西岡常一とその弟子小川三夫、そして作家塩野米松三者による本です(新潮文庫、本体857円)。もちろん、宮大工のなんたるか、職人の技の伝承(徒弟制度も含め)についても書いてあるのですが、これはそのまま人を育てるとはどういう事かというりっぱな教育論そのものに思えます。『堂塔;の木組みは寸法で組まず木の癖で組め』。堂塔を組む時もねじれた木や、山の高いところで育った木、中腹で育った木等、うまく生かして組むそうです。弟子でも、兄弟でもクラスでもいろんな個性があると思いますが、西岡さんはひとりひとり一人前になるのに必要な時間は異なりますが、必ずその子をいかせる場所があると言います。母親の役割についても言及しています。子育て中の方が読んでも学校の先生が読んでも組織をまとめる人が読んでも得られるものは多いような気がします。何故法隆寺や薬師寺の塔が1000年以上の長きにわたって風雨や地震に耐えているかという観点からだけでもおもしろい読み物ですが、科学がこれだけ進んだ現代人からみてもすごいと思える飛鳥時代の人たちの智恵、技術に思いをはせるのもいいものです。刃物を一人前に研げるようになるのに3年、人によって進み具合も違うし、早くできることがよい大工になることにつながるとも言えないというふうに弟子を育て、数百年後を見据えて仕事をしている人がいるかと思うと、自分自身の人や仕事への接し方を考えさせられます。
絵本『さるのせんせいとへびのかんごふさん』『へびのせんせいとさるのかんごふさん』が待合の本棚に仲間入りしました。
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