FC2ブログ

地域医療と予防接種(パネルディスカッション)

前回の続きですが、特別講演の後に『予防接種の現状と課題』というテーマでパネルディスカッションが約2時間程ありました。自分なりの簡単なまとめを以下に記します。
 最初に母親の立場から「命を守る~予防接種体制の充実を~」と題してUMKテレビ報道キャスターの榎木田朱美さんの発表
 ・宮崎県における予防接種の地域格差。
 ・子どもの健康に不公平があってはならない。
 ・予防接種は市町村単位でなく、県、国が責任も持って行ってほしい。高知県では、県内のすべての子どもが、全額公費負担で予防接種ができている。
 次に「接種スケジュールと同時接種」と題して三宅和昭Drが発表。
 ・Hibによる髄膜炎は生後6~8ヶ月に発症のピークがあるが、ワクチンの効果がすでに現れ始めている。
 ・同時接種は決して特殊ではない。
  三種混合ワクチンやMRワクチンですでに複数のワクチンを接種している。
  治療の面でも例えば抗生剤や抗ガン剤を同時に注射したりすることは珍しいことではない。
 ・同時接種後の死亡=同時接種による死亡ではない。接種事故後に減った同時接種が徐々に増えてきて一部の組み合わせでは事故前に戻った。
 3人目は「一診療所での予防接種の現状と問題点」と題して田代慎二郎Drの発表。
 ・生後2ヶ月の赤ちゃんを百日咳による無呼吸発作で救急搬送した経験を踏まえ、医療資源の乏しい田舎であればあるほどワクチンで予防できる病気は予防することが重要と予防接種に力を入れ、外来での予防接種勧奨にスタッフ一同で取り組み、3人に2人は同時接種をしている。
 ・県北では、行政(町)で予防接種に対する対応がかなり異なる。
 4人目は「病院小児科から見える問題点」と題して弓削昭彦Drの発表。
 ・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、予防接種で95%の抗体陽性率がある防げる病気なのに、今年既に難聴を合併したケースを2例経験した。治療はほぼできないと考えていい。流行性耳下腺炎では、1,000人に1人(400人に1人という人も)難聴を合併する。予防接種をして流行性耳下腺炎にかかったとしても、軽くですんだり、髄膜炎の合併も1/10に減り、周囲への感染の危険性も減る。
 ・ロタウイルスは、脱水での入院だけでなく、脳炎がこわい。2例のロタウイルスによる脳炎を経験したが、1人は亡くなり、もう1人は重度の後遺症が残ってしまった。
 ・Hibによる髄膜炎の診断はかなり困難。(実際のケースの発表)。予防接種をしていれば防げたのにという悔しい思いはもうこれ以上したくない。入院した子どもの予防接種歴を把握し、接種を勧奨している。
 ・どこかは忘れたが、子どもの医療費を全額無料にした所と子どもの予防接種を全額無料にした所との比較があったが、医療費を無料にした所は、医療費は増えるわ、病院は疲弊するわで結局破綻。予防接種を全額無料にした自治体は病気も減って医療費削減にも成功したという報告をきいた。
 最後に「接種率の向上を目指して」と題して米澤真理子保健師が発表。
 ・母子手帳の改良に取り組み、「親子健康手帳 つぐみ」を作った。つぐみセットで、小学校にあがるまでの健診や予防接種(任意のものも含め)をまとめてわかりやすくした。
 ・予防接種を受けそこねないよう、定期的に連絡するシステムを作り、受けてない場合、生後5~6ヶ月で家庭を訪問して予防接種や健診をすすめている。
 ・宮崎市では、23%が生後2ヶ月で予防接種を開始し、7割近くは日本脳炎を3歳未満で開始している。
 (パネラーから沖縄で1歳の子どもが日本脳炎を発症した、日本脳炎の接種を3歳まで待つ必要性はないとのコメント)
 *米澤さんは、私が宮崎生協病院小児科時代に行った喘息児サマーキャンプにボランティアとして参加してくれた看護学生さんでした。宮崎市の保健所で母子保健に関わって十数年とのこと。子どもに携わる仕事に頑張っていてくれたのだと、ほんとに久しぶりのうれしい再会でした。
 以上、聞き違い等あるかもしれませんが、セミナーのご報告です。子どもたちが健やかに育ってほしいという熱い思いが伝わるとてもいいセミナーでした。
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する