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世界希少・難治性疾患の日

 もう2月が終わり。2月最終日は、『世界希少・難治性疾患の日』ということで、こうした病気の患者さんの生活の質(quality of life)向上を目指し、平成20年にスウェーデンで定められ、日本でも平成22年から全国的に啓発イベントが開催されているとのことです。現在日本では、306の指定難病と、704もの小児慢性特定疾病対象疾患があると医師会からのパンフに記載されていました。あらためてこの数の多さにびっくりします。先日の新聞には、「毛細血管拡張性運動失調症」という、全国にわずか30人ほどしかいない病気の子どものお母さんが国の研究支援が4月からなくなることを受け「黙っていては何も始まらない」と研究費確保に向けた基金を設立しようと地元・青森で活動を始め、昨年2月に【ふたつの虹】というNPO法人をたちあげたという記事が宮日に載りました。運動機能の衰えが着実に進む子ども、余命を告げられた母、「一日でも多く一緒に笑おう」と心に決めた母子の素敵な笑顔の写真が印象的でした。

第81回小児科地方会

 26日午後から宮崎市で開催されました。特別講演は鹿児島大学小児外科の家入里志教授が『南九州から発信する世界水準の小児外科手術の実現と地域医療の両立を目指してー治す手術から造る外科医療へと変貌する小児外科』と題して講演。成人領域で先行導入された内視鏡外科手術が小児科領域にも普及し、特に新生児・小児においては低侵襲性だけでなく、正常発達を妨げない、長期的合併症を軽減するという意味でも意義が大きいことを多くのビデオで紹介されました。また、地方であっても若い人材が夢を持って小児外科を続けられるよう尽力されていることを紹介されました。小児外科医は3Kではなく3Y(ゆめ、よろこび、やりがい)、先生の情熱が伝わる名講演。先生の話を拝聴して思い出した言葉、Think globally, Act locally. 一般演題で印象に残ったのは、『マルトリートメント症候群の診療経験から地域連携を考える』でした。虐待のケースから病院内Child Protective Teamの設置や地域関連施設との連携の重要性を再認識し、行政・教育・医療との横のつながりを強める第一歩として「こどもケアカフェ」を立ち上げたとのこと。宮崎の日南で県内初のケアカフェが誕生していたのですね。日本小児科医会の地域総合小児医療認定医の活動と相通じるものがあり、感銘を受けました。県内に広がりをみせるといいですね。

急病センターでのアンケート調査中間報告

 県(宮崎市、都城市、延岡市)の急病センターでのアンケート調査の素データ入力がやっと終わりました。宮崎市夜間急病センターでは、10月〜1月の4ヶ月間に3,475名が受診し、2,845名(82%)、都城市では、2,160名中1,540名(71%)、延岡市は準夜帯のみで、1,092名(67%)、総計5,477名の方がアンケートに御協力下さいました。アンケートに御協力下さった皆様、ありがとうございました。中間報告ですが、急病センターを受診された方で、救急電話相談(#8000)があることを知らなかった方が、宮崎市で654名(23%)、都城市で499名(32%)、延岡市で316名(29%)。救急電話相談が午後7時から翌朝午前8時まで行われていることを知らない方が宮崎826名(37%)で都城で409名(39%)、延岡で379名(48%)おられました。この数字は、以前救急電話相談が午後11時までだったのが、翌朝午前8時までになったことを知らない方がおられることを反映していると考えられます。特に深夜帯がない延岡で多いようでした。自由意見では、電話が繋がりにくり、回線を増やしてほしいなどでした。今後もう少し詳しい解析をし、より良い方向を模索していきたいと思います。*少なくとも回線増は行われる予定です。

県麻しん風しん対策推進会議・広域化検討会議

 20日夜、県医師会館で行われました。喫緊の課題は、MRワクチンの接種率で、特にⅡ期の接種期限はあと1ヶ月あまり。全国的なMRワクチン不足が懸念されていますが、県内のアンケート調査でも6割の医療機関がMRワクチン不足あるいは確保しにくいと答えています。これを受けて行政の方に接種期間の延長を申し入れました(日本小児科医会でも厚労省にもう入れを行っています)が、予算の関係、接種期間を延ばすと定期から任意接種になるなどいろいろな問題があり、厚労省が接種期間の延長と定期として認めると各自治体に通知しない限り、現実的には非常に困難な状況です。しかし、逆に3割の医療機関では問題なく接種できているようなので、接種対象者でまだMRⅡ期を受けていない方は、かかりつけ医はもちろんのこと、近隣の医療機関に問い合わせてできるだけ期間内に接種する努力をして下さい。よろしくお願いいたします。

県小児科医会役員会

 日曜午後4時から宮崎市で役員会を開催しました。年に数回しかない会なので、報告事項や話し合うテーマは多岐にわたりました。皆様へのお知らせとしては、四種混合のⅠ期の接種間隔ですが、最低4週間以上あけないと留学等で渡航する際には、認められないということ。4月から運用開始する県小児科医会のホームページについても内容を詰めました。今まで医院で書いていた完治証明(登校許可証)に関して、インフルエンザ、おたふくかぜ、咽頭結膜熱(プール熱)に関しては登園基準が明確になり、診断した時点で保護者に伝えることができることから、新年度から宮崎県小児科医会では出さないという方針を打ち出すことになりました。どうしても必要な場合は、保護者が記入する登園届けを園の方に提出していただくことになります。子どもやその保護者のため、また医療費削減の観点からも無用な受診を減らすのが目的です。最初は戸惑われるかも知れませんが、よろしくお願いいたします。

耳かき

 外来で熱が出ている子どもを診察するときには、できるだけ耳を見るようにしています。自分自身が子どもの頃中耳炎で何回も鼓膜切開をしていたということもありますが、子どもの熱発に中耳炎を合併していることが少なくないからです。当院では次のステップとして耳をみることを前提にしているので、のどをみるのも耳鏡を使います。しかし、耳をみられるのを嫌がる子どもや、せっかくみようとしても耳垢でみれないこともあります。子どもの耳かきはじっとしていないので大変なので、無理せず耳鼻科の先生にとってもらうのも致し方ないと思っていました。そしたら、この度アメリカ耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNSF)がガイドラインで明確に耳掃除を否定したという医療ニュースが飛び込んできました。素人が勝手に耳かきすると外耳道を傷つけるからというのが理由だそうです。それにしても、ガイドラインで禁止するようなものでもないような気がしますが・・・。お母さんの膝枕で耳かきしてもらうのも悪くないですものね。

当直と迅速検査

 昨日は、急病センターの当直でした。準夜帯から引き継いだ途端、立て続けに熱性けいれんの子供が3人続きました。その後は嘔吐や腹痛、クループや胸痛等でインフルエンザはピークを越した感があります。さて、宮崎市急病センターは、今冬から原則インフルエンザ等の迅速検査を行わないことにしましたが、ここまでトラブルなく来ているようです。先日千葉市が急病センターでの迅速検査を中止し、千葉市の公式サイトで市民向けに通知を発表したとのニュースが流れました。インフルエンザ流行期に迅速検査を行わないとの立場を公式サイトで広報する自治体はあまり例がないとのこと。千葉市は2009年のA/H1N1pdm(新型インフルエンザ)による流行発生の翌年の2010年以降から行っているそうで、延岡、都城の急病センターにも参考になるかな。もちろん、重症例など医師の判断で例外もあることや、迅速検査を実施しなくても「医師の診察でインフルエンザと診断された場合には、抗ウイルス薬の処方が行われるのでご安心を。
*2009年のインフルエンザ流行時には、厚生労働省が「無症状者のインフルエンザ陰性を証明するために医療機関を受診させ、簡易迅速検査などを行う意義はない」ことの周知を求める通知を出している。また、「臨床所見や地域の流行状況などから医師が総合的に判断し、薬物療法が必要と判断した際には迅速検査やPCR検査は必須ではなく、診療報酬や調剤報酬上も抗ウイルス薬投与に迅速検査の実施は必須ではない」との見解も示している(2009年10月16日事務連絡「新型インフルエンザによる外来患者の急速な増加に対する医療体制の確保について」)。

保育園と予防接種

 新潟市の私立保育園が、4月から認定こども園に移行するのを機に、定期予防接種を受けていない園児を受け入れない方針を打ち出していたというメールが入りました。非常に勇気ある園長の英断だと思います。予防接種で防げる病気が園で流行する度に残念な思いをしてきました。園の入園条件に「入園前に受けることができる予防接種はすべて受けておくこと」が入るといいのにと思い、園の先生方の講演でも言及したことがありますが、そこまで踏み込んでくれる園はありませんでした。それだけに、今回のメールには驚くとともに、「予防接種の未接種だけでは拒めない」とする国の見解を受けて『 予防接種を意図的に受けない方は当園の方針と考えが異なるため、トラブル関係になることが明白」と明記。「トラブル関係は(園が保護者の申し込みを拒んではならないとする)応諾義務を拒否する正当な理由となるので入園の契約はできない」と『国の見解が示されたのでやむなく内容は変えたが、子どもの健康を守るため園の方針を変えるつもりはない』と園長さんの談話。エールを送りたいと思います。

乳幼児学校保健研修会

 連休初日は、乳幼児学校保健研修会に行ってきました。宮崎からは、他に4名の先生が参加されました。今の日本では、子どもを産み育てていくのが大変な時代になっているようで、それが出生率の低下という形で現れているようです。そんなお母さんが元気になれるような乳児健診が出来ているか自省しました。午後は昼食を食べながら、ペリネイタルビジット(妊娠した時点でかかりつけの小児科医を決めて受診し、出生後に繋げていく制度)を発展させ、ヘルシースタートおおいた(大分の全ての子どもが健やかな出生を迎え、育っていくよう医療・保健・福祉・教育の連携による「地域母子保健・育児支援システム」を構築し妊娠期からの切れ目のない支援を目指そうという取り組み)の実践を学びました。その後フィンランド発祥の妊娠初期からの切れ目ない子育て支援制度ネウボラを二人の講師から学びました。この度市町村で設置が努力義務とされた「子育て世代包括支援センター」が日本版ネウボラとして機能するためには多くの課題が山積みですが、小児科医として何ができるか医会の仲間と考えていきたいと思います。そしてお母さんが安心して子どもを産み育てていける社会を築いていかねばと思わせてくれるいい研修会でした。

歯科検診

 午後の休診日を利用して、歯科検診に出かけてきました。インプラントを入れて以来、忙しさにかまけて、健診に行けずにいたら、歯科医院から連絡が。『いつもは休診日である木曜日、臨時で開けていますので健診を予約されませんか?』二つ返事でお願いしました。歯科医院と当院の休診日が一緒なので、受診するとなると診療時間を一部犠牲にしないとダメというのも歯科医院への足が遠のいていた一因でした。あまりに時間が空いたので連絡をくださったのだと思います。有り難いことです。久しぶりの歯科受診。いくつになっても緊張します。歯周病のチェックから始まり、歯垢除去へ。あの独特の機械音、苦手で力が入ります。口を開けっ放しというのも結構疲れますね。今回は表面の歯垢除去。次回はより深いところの除去をしますということで終了。きれいな白い歯が戻ってきて気持ちまで、晴れました。皆様も歯の健康にも留意してくださいね。

医療安全対策セミナー

 6日夜7時から「医療安全対策セミナー」が行われました。今回は児湯医師会館のテレビ会議システムを利用しました。わざわざ宮崎まで行かずにすむので、とても便利です。第Ⅰ部は医療法に基づく『医療安全対策の体制整備について』県医療薬務課からの説明。第Ⅱ部は『ヒューマンエラーと医療安全』と題してSONPOリスケアマネジメント(株)医療リスクマネジメント上席コンサルタント・看護師の泉素子氏が講演。「To Err is Human;人は誰でも間違える」というヒューマンエラーとはこんなものという研修は多いが、「Building a safer health system;より安全なシステムを構築すること」が重要なのにそこのところの研修が少ないことを指摘。我々が持つ脳のクセを実感させるスライドを手始めに、エラーの発生を以下に防ぐか具体的な方法を提示した実り多い研修会でした。医療安全の基礎ABC、A:当たり前のことを B:ばかにしないで C:ちゃんとやる は、何をするにしても共通する大事なことですね。今回学んだことを早速実践し、自院の診療に生かしたいと思います。

休日在宅医

 4日(土)夜は、救急電話相談当番、今日5日は休日在宅医でした。宮崎が全国的に一番インフルエンザの患者数が多いと報道されましたが、やはりインフルエンザを心配しての来院が多く、それに伴う検査増で待ち時間が長くなった方も多かったようです。多くはインフルエンザでしたが(大多数はA型でまれにB型が混在)、中には溶連菌やアデノウイルスの熱発や感染性胃腸炎も混じり、診療する側も大変でした。事務の方もコンピュータへの新患登録で大忙しだったようです。
 *今日午前中はあいにくの雨模様でしたが、日南では広島カープの優勝パレードが行われたようです。広島カープの大ファンである長男親子は福岡からわざわざ優勝パレードをみるために帰ってきました。親子そろって広島の(孫はMARUと書かれた)ユニフォームをきて、朝5時半には日南に出かけていきました。楽しめたのかな。

豆まき注意

今日は節分、多くの家庭で豆まきするのでしょうね。今日豆まきで顔面の発赤、かゆみが出たと来院した子どもがいますが、この時期多くなるのは節分の豆の誤嚥関連です。誤飲、誤嚥の話をする機会には、「3歳ごろまでは乾いた豆やナッツ類は食べさせないでほしい」とお願いしていますが、消費者庁も同様のお願いをしているとニュースで言っていました。誤嚥性肺炎や、窒息等入院を要するケースも出ています。気をつけて下さいね。*豆による事故を防ごうと、豆を小分け包装し、袋のまま豆まきができる商品も今は出ているようです。ちょっと風情は出ませんが、事故予防の観点からは、いいアイデアですね。

出席停止期間

 先日、インフルエンザが軽快し、登園許可証を出した子どもの母親から電話相談がありました。『登園しようとしたら、診断した日から5日間たってからでないと登園できないと言われたのですが、そうなんですか?』。こんな質問は初めてでびっくり。いつから?その園ではそのようになった!?出席停止期間は、学校保健安全法第19条で定められています。インフルエンザでは、学童(小学校以上)と園児では異なります。ちなみに「発症した後5日をけいかし、かつ解熱した後2日(乳幼児、幼児にあっては、3日)を経過するまで」となっています。この発症した日とは、熱が出た日を0日として、5日間は出席停止ということで、決して診断された日が0日ではありません。インフルエンザにかかった子ども達は最低限この期間は出席停止ということです。そして、いつ解熱したかで、出席停止期間が長くなることがあります。というのも、解熱した日が遅いとそれから+2,あるいは+3日は登校(登園)出来ないからです。この際も、解熱した日が0日で、それから2日(園児では3日)を経過したあとでないと登校(登園)できません。おたふくかぜも同様で、耳下腺や顎下腺が腫脹したのに気づいた日が0日で、それから5日経過するまでは出席停止です。トランプ流?に勝手なルール(解釈)をごり押しされないようお願い致します。