子どもへのまなざし(全3巻)
児童精神科医、佐々木正美先生が書かれた本です。1998年7月に初版が刊行された本ですが、私が手にした本は第53刷、長いこと読み継がれていることがわかります。物事の本質は古くならないと実感。また、本の中で先生が予想されている時代の流れがありますが、あたっています。親になるための勉強をすることもなく、いつのまにか親になっていたという方が多いのでは。私自身、学生結婚をして医学生の頃に子どもを授かりましたが、その頃にこの本に出会っていたら子ども達への接し方も随分変わったのではないかと思いました。子どもを授かった方はもちろん、子どもに接するあらゆる職業の方におすすめの本です。
第200回宮崎市郡学術講演会
27日木曜夜、『最近の予防接種の現状と課題〜大人と子どもに必要なワクチン、そして摂取率向上、過誤接種防止について〜』と題して、久留米大学医学部の津村直幹先生の講演がありました。がんを予防するワクチン、B型肝炎ワクチンと子宮頸がんワクチン。B型肝炎は、父子感染その他の家族内感染によるキャリア化が目立つようになったこと、子宮頸がんワクチンは今話題の副反応についても話されました。風評に惑わされず、しっかりとした知識を持つことが必要、接種率低下によって子宮頸がんを防げないことへの危惧を話されていました。Hibと肺炎球菌ワクチンに関しては、これらワクチンの導入で、髄膜炎や重篤な感染症が劇的に減少しているデータも示されながら、ロタウイルスワクチンも含めた生後2ヶ月からのワクチン接種開始の重要性、大人も子どもも肺炎球菌ワクチンを接種することが大事であること、宮崎市が行っている任意接種や大人の肺炎球菌ワクチンの助成制度を高く評価されていました。最後にワクチン接種の過誤に関する報道記事を紹介されながら、どういうところで間違いが起きているか、それを防ぐ方策のヒントを話され、講演終了となりました。
*木曜午後の休診を利用して、ロールカーテンの取り替えを行いました。無地からストライプ模様の入ったカーテンへの切り替え、いかがでしょうか。
*木曜午後の休診を利用して、ロールカーテンの取り替えを行いました。無地からストライプ模様の入ったカーテンへの切り替え、いかがでしょうか。
太陽光
ご迷惑をおかけしていた太陽光パネル設置のための足場も撤去され、随分すっきりし、太陽光発電が稼働するようになりました。それでびっくりしたことが一つ。今日のような雷が鳴ったり、大雨注意報が発令された暗い日でも、わずかながら発電しているのですね。この時期、曇りの日も紫外線対策をといわれているのが実感できました。梅雨の時期は湿度が高く、これで気温まで上がると熱中症が心配ですが、雨の日が多く比較的涼しかった17日~23日の間でも、熱中症で救急搬送された人は宮崎だけで24名いたそうです。うち重症2名、中等症11人、年齢別では高齢者が13人で最多だったと報道されています。我が家でも、私の父が熱中症でダウン。年をとると、暑さの感覚が鈍るようで、本人は汗をかいているのに私たちから見ると厚着。また、昔の人は辛抱強いというか、もったいない精神が身にしみているというか、クーラーをつければいいのにと思うような温度でも我慢しています。高齢者のいるご家庭は、特にこまめに室温の調節や、水分補給をしてあげてくださいね。
スマートフォンの使いすぎに注意
Medical Tribune、2013.6.13号に以下のような記事が掲載されました(抜粋)。『韓国のLee教授らは、青少年のスマートフォンの過剰使用が重篤な精神病理学的症状と関連すると発表しました。2012年の韓国の5〜19歳のスマートフォン使用者数は、なんと67%ということです。結論からするとスマートフォンの使用頻度が高いほど、身体症状、抑うつ/不安、思考問題、注意力不足、非行、攻撃性といった問題が多いことが判明。』日本での使用頻度はどのようなものか興味があります。時々列車を利用するのですが(昨日23日も夕方から宮崎市で小児科役員会があったので列車で宮崎まで行きました)、待合や列車で椅子に座っている人たちは、子どもも含めほとんどが自分の携帯とにらめっこ。最近では、子どもの顔よりスマートフォンをみている時間が多いのではと、ちょっと心配になるお母さんもみかけます。大人も子どももメディアとのつきあい方はほどほどに。
だまされてはいけない
高鍋町も7月1日からMR(麻しん・風しん)ワクチンの公的助成を開始すると連絡が入りました。出遅れた感はありますが、助成しないより、一歩前進。それに対して、国の対応は『水痘、おたふく風邪の患者数が100万人を越しているのに比べれば、風しんはまだ1万人を越しただけ、予算の関係で・・・』なんて詭弁を弄して、なんら対策をとろうとしていない。だまされてはいけません。この数の比較はなぜ 詭弁なのか。風しんはかなり前から定期接種で感染を押さえ込んできた疾患、かたや水痘とおたふく風邪は任意接種で感染がコントロールできていない疾患。その両者を感染者数だけで同じ土俵に上げて論ずることは、国民をだまそうとしてるに他なりません。だまされてはいけません。前にも書きましたが、今の事態は、10年も前から予想され、研究班は強い口調で国に対策をとるよう迫っていましたのにも関わらず、なんら対策をとっていなかった国の怠慢はあきらか。ここ1,2年の話ではないのです。*米疾病対策センター(CDC)は19日、風疹の流行が続く日本への旅行者に渡航注意情報を出しました。今の流行は、海外からはこのようにとらえられています。☆現場では、すでにMRワクチンの出荷制限が始まっています。希望するだけのワクチンがはいるかどうか。国外のMRワクチン輸入も考慮しないといけない状況が迫っています。
心臓検診委員会
19日(水曜日)の夜、児湯医師会館で児湯地域の『心臓検診委員会』が行われました。小、中、高校生100名以上が心電図検査でリストアップされていました。心臓検診で要精密になった子どもの受診率は結構良いのですが、学校検尿で3次検査が必要とされた子どもの受診率の低さがいつも問題になります。数日の間隔を置いて早朝尿と負荷尿をワンセットとして3セット分の検査が必要ということが負担になるのは分かりますが、腎臓もとても大切な臓器です。実際、学校検尿で要精密になったにもかかわらず、受診されず、透析治療に入ったケースも報告されています。後悔しないよう、検診の実効性があがるよう、検診結果票に記されている指示に従ってくださいね。
MRワクチン不足
西米良村でも21種のワクチン助成、川南も風しんの全額助成を決めてうれしい限りですが、肝心のMRワクチンが不足しそうです。【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.102(2013年06月14日)の記事からの引用です。『麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の供給量に関し、5月以降の任意の予防接種者数が急激に増加しており、現在の接種者数の水準がこのまま続いた場合、今夏以降にMRワクチンが一時的に不足する恐れが出てまいりました。そのため、安定供給の目途がつくまでの間、効果的な先天性風しん症候群の発生の予防及び今後の安定的な定期接種の実施のため、任意の予防接種について、妊婦の周囲の方、及び妊娠希望者又は妊娠する可能性の高い方で、抗体価が十分であると確認できた方以外の方が優先して接種を実施できるよう、ホームページ等において情報提供と協力依頼を行っています。』こんな場当たり的な対応を今の時期に出しているようでは・・・先が思いやられます。平成15年の「風疹流行にともなう母児感染の予防対策構築に関する研究」で、もうすでに『現在の風疹及びCRSの発生状況は、このまま放置すれば、ほどなくわが国全体においてCRS発生に関して危機的状況に至ると考えられ、もはや一刻の猶予もない。当研究班では、「報告すべき健康危険情報およびその対策」として、風疹及びCRS の対策について、以下のような国全体を対象とした緊急提言を行うものである。』として危機を訴えていたのに、なんの対策もとられないまま今日まで来てしまったのが、現在の状況を招いています。今になって急にMRワクチンの増産が出来るわけでもなく、まだまだ風しんの流行は続きそうです。事が起こらないと動こうとしない悪い慣習を打破するのは 今でしょ!
プール開き
診察室で、プールが始まった、もうすぐ始まるのでという話が出る時期になりました。猛暑日の昨日のような日は、プールにつかるのは気持ちいいでしょうね。すぐ近くに蚊口の浜という海水浴場があるのに泳ぎが苦手だった私は、プールにいい思い出がありません。私が子どもの頃は何故か高鍋東中学校にはプールがなく、ほっとしたものですが、高校に入ると50mの公認プールがあり、水泳の授業に苦労したのを覚えています。入る前のシャワーも冷たかったなぁ。クロールの息継ぎなんか見てるだけですごい!なにせ、私水の中で目を開けることが未だに出来ません。できるのは、必然的に水の中で目を開ける必要がない、平泳ぎ、背泳ぎ、犬かきぐらいという情けなさ。テニス仲間で私よりも一回りも二回り?も上の方が、マスターズで活躍されたり、今でも錦江湾の遠泳大会に出ているという話を聞くと同じ人間とは思えない。その人に水泳が苦手ということを話すと、子どもたちには先ず水を怖がらないことを教えるとのこと。子どもの頃に出会っていたら良かった。
*プールの時期になると『みずいぼ』の相談が増えます。昔は、プールでの感染を恐れ、プールは禁止という園も多かったようですが、宮崎県医師会園医部会での感染症の登園基準では、タオルや浮き輪、ビート板などを共有しないようにすれば、プールを禁止する必要はないとされています。直接肌が触れないようにも注意して、子ども達が疎外感、差別感を抱かないように配慮したいものです。
*プールの時期になると『みずいぼ』の相談が増えます。昔は、プールでの感染を恐れ、プールは禁止という園も多かったようですが、宮崎県医師会園医部会での感染症の登園基準では、タオルや浮き輪、ビート板などを共有しないようにすれば、プールを禁止する必要はないとされています。直接肌が触れないようにも注意して、子ども達が疎外感、差別感を抱かないように配慮したいものです。
急病センター当直
恵みの雨?をもたらしている台風3号が日本に近づいている11日(火)は、急病センターの当直でした。幸い台風の方は熱帯低気圧に変わりそうで上陸する心配はなくなったようですが、当直の方は大荒れでした。『先日急病センターの取材にこられた時は、皮肉なことに準夜帯も、深夜帯もとても少なかったんですよ。』『先生、今日は帰れるかしら?』と看護婦さんが言うぐらい。午前3時からは明け方までに救急車も2台、いずれも熱性けいれん初発。もうないかなと思ってそろそろ帰る準備をと考えていた頃に、昨日まで元気で今熱が出たという子供が来院。いつもこんなに高い熱は出ない、ぐったりしていたと言う親をよそに、子どもはスタッフにバイバーイ、バイバーイを連発して元気に帰って行きました。『いつ行くの?今でしょ!』という感じで来られたのかなぁなんてくだらないことを考えている自分がいました。
日本小児科医会総会フォーラム
今年は大阪で行われました。大阪開催で特別講演の目玉は『iPS細胞研究』だったのですが、土曜午後だったので間に合わず聴けませんでした。翌日曜は朝7時からの全国委員会に出席。その後、「”子どもから学ぶ!聴く!そして育む”~子どもたちの未来のために;小児科医からの提言~」と題したシンポジウムに参加。「子どもを大切にしない国への警鐘~ワクチンを通して見る日本の子育て事情の問題点~」と題して、藤岡雅司先生が予防接種に取り組む国の姿勢の問題点を、「小児科医だからこそできる親支援~診療を通じて「親の育ち」を見守る」と題して、仲野由季子先生が子どもだけでなく親との関わりの中で見る大切さを、「小児科医による究極の育児支援とは~小児救急から病児保育まで~」と題して24時間診療に当たっている中野こども病院の木野稔先生が自院で行っている工夫も含め話されました。その他「インフルエンザワクチン無効論は克服できたか~疫学の視点から」と題して廣田良夫教授がインフルエンザワクチンの有効率に関して、その評価の方法についても詳しく話されました。いつもの診療とは違った刺激を受け、有意義な一日でした。少しずつ、宮崎の小児医療にも生かしていけたらと思います。
訪問救急教室
8日(土)は、上新田保育園での訪問救急教室に出かけてきました。子どもの健康管理と救急医療に関して1時間ほど話してきました。熱心に聞いて頂き、話しに行った甲斐がありました。今年は、自分のお膝元、高鍋の幼稚園や保育園では希望がなく寂しい思いをしましたが、今回伺った保育園は今年が初の開催。来年に繋がるといいのですが。先週も宮崎の民放で『宮崎市夜間急病センターの実情』が少し紹介されていました。私も急病センターの当直に参加していますが、当直している小児科医のなかでは57歳の私がまだ若手の方。これから少しずつリタイアされていく先生方も増えていくばかり、今後の運営がほんとに思いやられる状況です。来年県立宮崎病院の敷地内への移転計画も進んでいます。訪問救急教室開催で、不要、不急の急病センター受診が少しでも減って、急病センター本来の役割が果たせるようになるといいなと思うと同時に、子どもやその保護者の子育て不安軽減に繋がるといいなぁと思います。
スタッフのためのワクチンセミナー
昨日(6日)午後、高鍋町の1歳半健診を終えて一息ついた後、『スタッフのためのワクチンセミナー』と銘打った講演会(宮崎市で開催)で、「予防接種の最前線」と題して話をしてきました。医師や保健師さん、園の先生等を対象の講演会は多いのですが、スタッフのためのと銘打った講演は初とのことで、力量不足は承知の上で引き受けました。予想に反して100名を越える方が来場されびっくり。病院スタッフだけでなく、行政の方もみえていたのにも驚きました。準備段階では好調だったパソコンが講演が始まったとたんフリーズしてどうなることやらと気をもみましたが、なんとか回復、無事講演を終えることが出来ました。その後の懇親会もいつもと違って看護師さんや受付の方で盛況でした。予防接種率の向上、事故防止に少しでも寄与できたらいいな。
明日は、訪問救急教室があり、、診療後は日本小児科医会総会へ。朝7時から会議予定。これが終わると一息つけそうです。
明日は、訪問救急教室があり、、診療後は日本小児科医会総会へ。朝7時から会議予定。これが終わると一息つけそうです。
ぬか喜び
学校検診で肥満を指摘された子どもの来院があった時、肥満指数(body mass index)なるものを計算します。そのついでに自分のBMIを測定してみたら正常上限。肥満の際の治療の基本は食事。肥満気味の子ども達に、「食事の前に野菜を食べると満腹感があって全体の食事量が減っていいよ。」と言っている手前もあって、2週間前から私も3食の最初に野菜を小ボール一杯食べてから他の食材を取るようにしてみました。自分でやってみてわかったこと。1)確かに食事の前に野菜を食べると、いつもの食事に比べると食欲が落ちる。2)噛む回数が増える。3)いろんなものを食べながら野菜を食べる方が料理はおいしい。4)野菜サラダだけでなく、温野菜にしたり、ドレッシングを変えたりしないとなかなか続けるのがきつい。先日テレビで食前の野菜を勧めていたDrは、自分自身食前の野菜で4ヶ月で3kgやせたとのこと。今日体重計に乗ったらなんと2週間で−2kg。うっそー。喜んで報告したら、一言「間違いじゃないの?」そんなはずはないと再度体重計に乗ったら、現状維持。ぬか喜びでした。道のりは遠い。でも、最低4ヶ月は続けようと思ってます。やせがまんならぬ、太り我慢!?
*6月8日(土)、午前9時半〜11時半まで、訪問救急教室事業で上新田保育園に出かけるため、不在になります。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
*6月8日(土)、午前9時半〜11時半まで、訪問救急教室事業で上新田保育園に出かけるため、不在になります。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
急性胃腸炎の主因
日本における5歳未満児の急性胃腸炎の主因はロタウイルス、次いでノロウイルスですが、米国ではノロウイルスが5歳未満児の急性胃腸炎の主因になったとMedical Tribuneの最新号の一面で報じられています。ノロウイルス感染で小児の14人に1人が救急診療部を、6人に一人が外来を受診、全米で年間平均1万4,000人の5歳未満児がノロウイルス感染で入院しているとのこと。ロタウイルス感染症による受診が減少しているのは、全米で進められたロタウイルスに対する予防接種プログラムの成功を裏付けるものとのこと。日本でもロタウイルスワクチンを接種する乳児が増えると同様の傾向になってくる可能性が。そうなると期待されるのはノロウイルスに対するワクチンですが、現在開発途上とのこと。早く実用化されるといいですね。*ロタウイルスワクチンを希望されても接種できないお子さんがいらっしゃいます。というのもロタウイルスワクチンは遅くとも生後3か月半過ぎ(生後14週6日)までに初回接種を済ませないといけないワクチンだからです。生後2ヶ月にHIbワクチンや肺炎球菌ワクチンと一緒にされるのがお勧めです。
風しんに関する要望書
今日から6月、新しいスタッフが仲間入りです。よろしくお願いいたします。さて、宮崎でも現時点で18名の風しんの患者さんがでていますが、このたび日南市が県内初の風しんの予防接種に対する補助を打ち出しました。若い市長さんになって変わりつつあるのかな。先日、日本小児科学会、日本小児科医会、日本小児保健協会、日本外来小児科学会の小児に関わる4学会がこのたび合同で『風しんにかかる臨時の予防接種の実施に関する要望書』を厚労省に提出しました。『1.風しんを、厚生労働大臣がまん延予防上緊急の必要があると認めるA類疾病に定めること。2.特に流行している都道府県については、都道府県知事に対して風しんにかかる臨時の予防接種を行わせること。3.臨時接種の対象者は、風しん未罹患かつ風しん含有ワクチン未接種の者(現在の定期の予防接種対象者及び妊婦は含まない)とすること。4.臨時の予防接種に要する費用については、事態の緊急性に鑑み、特段の財政的配慮を行うこと。を強く要望する(一部文面省略)』というものです。実際全国的に見ると独自に補助を行っている自治体もありますが、地域差があるのも事実です。先天性風しん症候群の子どもたちをこれ以上増やさないためにも、国にはぜひ真摯に取り組んでもらいたいと思います。全国紙にはこの要望書が提出されたことが報道されたのですが、宮崎の地方紙には掲載されませんでした。今回の日南市の動きが県内の他市町村に広がり、地方から国の姿勢を変えていく一歩になるといいなぁと思います。
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