ポリオの予防接種
今年後半のポリオの予防接種が、木城町を皮切りに始まりました。10月には、ほとんどの所でポリオの集団接種が始まります。来年に不活化ポリオワクチンの導入が予定されていることもあり、ポリオの生ワクチンを受ける人が少なくなるのではと懸念していましたが、本日うかがった木城町では、昨年とほぼ同数の子どもたちがポリオの予防接種を受けてくれたようで一安心です。木城町では昨年までは、チャンスが1回でしたが、今年は10月27日(木)にもポリオの予防接種があります。今日受け損なった方は予定に入れておいてくださいね。次回も私が診察にうかがう予定です。インフルエンザやHib、肺炎球菌ワクチン等もありますので、うまく接種スケジュールを立ててください。受ける順番がわからない時や、何から受けて良いかわからないときは、遠慮なくご相談ください。一番怖いのは、全く受けない人が増えることです。不活化のポリオワクチンも現時点ではいつから定期で始まるかはっきりしていません。予防に勝るものはありません。ワクチンで防げる病気は防ぎましょうね。
体力低下?
今日の新聞に、{「100メートル走」娘より母速かった}という記事が載っていました。その差は両世代が受けた体育授業の時間数の差が影響しているとしているという研究結果だとか。ゆとり教育を受けた娘世代の中学の体育の年間授業時間が90時間。母親世代は年間125時間で年35時間の差があるとしている。小学校6年間では、多くても年15時間の差。果たして、体育の授業時間数だけで体力に差が出るだろうか?と思ってしまいました。1980年と2009年では、子ども達の遊びそのものもかなり変化しているのではないでしょうか。私の子ども時代は小学校の校庭で、仲間とつるんで遊ぶのが普通でした。朝7時頃には家を出て、カバンを教室において校庭へ。そこで、やわらかいボールを使って三角ベースボールのような競技やドッジボールなどで一汗流して、始業のチャイムが鳴るとあわてて足洗い場に駆け込み教室に行っていたのが小学校。授業が終わったら終わったで、その後みんなで集まって遊んでいたことを覚えています。それが、私が大人になった頃には、・・野球チーム、・・サッカーチームとどこかに属さないとスポーツできないような環境になって、校庭で友達どうして遊んでいるという風景がみられなくなってしまいました。子ども時代は、一つのスポーツをきわめるというより、いろんな遊びを通じていろんな筋肉を使うことが大事なように思います。
かくいう私も、世代間の体力差を痛感することがあります。私の所属している高鍋テニスクラブには、第二次世界大戦後、ロシアに抑留された経験を持つ人が宮崎から750ccのバイクに乗ってこられるかと思えば、隣の新富町からママチャリでテニスコートに続く坂を飄々と登ってテニスに来られる60代の方がいたり、今でも桜島遠泳に参加しておられる70代の男性がいたり・・・。その方々と一緒に練習をして先に『休憩しませんか!?』と声をかけるのはいつも私。食糧事情もままならなかった世代なのに、なんでそんなに体力があるのだろう!?
かくいう私も、世代間の体力差を痛感することがあります。私の所属している高鍋テニスクラブには、第二次世界大戦後、ロシアに抑留された経験を持つ人が宮崎から750ccのバイクに乗ってこられるかと思えば、隣の新富町からママチャリでテニスコートに続く坂を飄々と登ってテニスに来られる60代の方がいたり、今でも桜島遠泳に参加しておられる70代の男性がいたり・・・。その方々と一緒に練習をして先に『休憩しませんか!?』と声をかけるのはいつも私。食糧事情もままならなかった世代なのに、なんでそんなに体力があるのだろう!?
休日在宅医
今日の在宅医は、急に涼しくなり、かつ天気も悪いせいか、久しぶりの喘息発作で来院した子ども達が多かったです。また、今日だけで10名の子宮頸がんワクチンの予防接種をしました。9月一杯に1回目を接種すれば、3月に3回目を受けることが出来るので公費で接種できます。現時点で、4月以降どうなるかがはっきりしていません。子宮頸がんワクチンを受けようと思っている人はできるだけ30日までに1回目を接種した方が無難です。
*昨日から、インフルエンザの予防接種の予約受付を開始しました。多くの方が予約して下さいましたが、やはり今年はワクチンが不足する可能性が出てきました。供給元の一つである第一三共が予定していた236万本にトリレオウイルスが混入していたことが判明し、出荷できなくなったと報道されました。今年は、小児の接種量が改訂になって増えたこともあり、必要本数が増え需要予測が供給予測を上回っています。厚労省は、医療機関からの初回注文量が前年実績を上回らないよう指示するとしていますが、そうなると小児科は、昨年の半分くらいの人にしか接種できないことになります。念のため、早め早めの対応をお願い致します。
*昨日から、インフルエンザの予防接種の予約受付を開始しました。多くの方が予約して下さいましたが、やはり今年はワクチンが不足する可能性が出てきました。供給元の一つである第一三共が予定していた236万本にトリレオウイルスが混入していたことが判明し、出荷できなくなったと報道されました。今年は、小児の接種量が改訂になって増えたこともあり、必要本数が増え需要予測が供給予測を上回っています。厚労省は、医療機関からの初回注文量が前年実績を上回らないよう指示するとしていますが、そうなると小児科は、昨年の半分くらいの人にしか接種できないことになります。念のため、早め早めの対応をお願い致します。
児童福祉文化財
巷では今日から3連休。私たちのように土曜が仕事だと飛び石連休。天気も良く久しぶりに外で遊ぶことができたかな。私も85歳になる両親を連れて3歳の孫と遊園地で楽しみました。
さて、先日『児童福祉文化財』という言葉を初めて知りました。厚生労働省が「子どもたちの健やかな育ちに役立ててほしいと毎年絵本や児童図書等の出版物、演劇やミュージカルの舞台芸術、映画等の映像・メディア等の作品について推薦を行っている」そうですが、平成22年度は、絵本・児童図書などの60作品の出版物が『児童福祉文化財』として推薦されています。厚労省からそのポスターが送られてきて初めて知った次第です。厚労省のホームページの子ども・子育て支援の所をクリックして施策情報のところの子育て支援の児童福祉文化財というところをみると過去の分も見られるようになっています。読書案内として趣旨は悪くないと思うのですが、どれくらいの人に認知されているのかなとちょっと心配になります。
現在当院のスタッフが毎月交代で『すこやか通信』に絵本の紹介をしていますが、この児童福祉文化財に紹介してある絵本や児童図書も仲間入りするかな。
☆9月25日(日)は、休日在宅医です。在宅医の際の診療時間は、午前9時~12時。午後2時~5時までで、その性格上予約はできません。ただし、この日にMR(麻しん・風しん)ワクチンと子宮頸がんワクチンを希望される方はワクチンの予約を前もってお願い致します。☆
さて、先日『児童福祉文化財』という言葉を初めて知りました。厚生労働省が「子どもたちの健やかな育ちに役立ててほしいと毎年絵本や児童図書等の出版物、演劇やミュージカルの舞台芸術、映画等の映像・メディア等の作品について推薦を行っている」そうですが、平成22年度は、絵本・児童図書などの60作品の出版物が『児童福祉文化財』として推薦されています。厚労省からそのポスターが送られてきて初めて知った次第です。厚労省のホームページの子ども・子育て支援の所をクリックして施策情報のところの子育て支援の児童福祉文化財というところをみると過去の分も見られるようになっています。読書案内として趣旨は悪くないと思うのですが、どれくらいの人に認知されているのかなとちょっと心配になります。
現在当院のスタッフが毎月交代で『すこやか通信』に絵本の紹介をしていますが、この児童福祉文化財に紹介してある絵本や児童図書も仲間入りするかな。
☆9月25日(日)は、休日在宅医です。在宅医の際の診療時間は、午前9時~12時。午後2時~5時までで、その性格上予約はできません。ただし、この日にMR(麻しん・風しん)ワクチンと子宮頸がんワクチンを希望される方はワクチンの予約を前もってお願い致します。☆
今期のインフルエンザ予防接種
9月24日(土)からインフルエンザの予防接種の予約を開始します。当院は10月1日(土)から接種開始です。小児の場合、接種量と接種間隔が以下のように変更になりました。
1)6か月から3歳未満は0.25mlを2回(2回目は2~4週間間隔で)
2)3歳以上で13歳未満は0.5mlを2回(2回目は2~4週間間隔で)
3)13歳以上は0.5mlを1回(2回でも可:2回目は1~4週間隔で)
接種量が約2倍になり、病院にとってはワクチンの仕入れる量も費用も約2倍になりますが、当院での料金は昨年と同じにすることにしました。☆当院で2回接種する人は、1回目が3,000円、2回目は2,000円(total 5,000円)、1回だけの人は、3,000円です。
*今年は、平日に加え、10月23日(日)と11月13日(日)の各日曜午前中と、10月12(水)、14(金)、19(水)、21(金)、26(水)、28(金)、11月4(金)、9(水)、11(金)、16(水)、18(金)の夜間6時30分~7時まで時間外のインフルエンザの予防接種を行う予定です。
※先程入ってきたメールで知ったのですが、インフルエンザワクチンを製造している1社のワクチンが出荷不適当になりそうです。私の注文しているワクチンとは異なるのですが、卸間で数量調整をするという話?があるようです。もしそうなるとワクチンは明らかに不足します。上記時間外の予防接種も、こちらの希望するワクチン量が確保できての話になります。今年はできるだけ早めの接種をお勧めします。
1)6か月から3歳未満は0.25mlを2回(2回目は2~4週間間隔で)
2)3歳以上で13歳未満は0.5mlを2回(2回目は2~4週間間隔で)
3)13歳以上は0.5mlを1回(2回でも可:2回目は1~4週間隔で)
接種量が約2倍になり、病院にとってはワクチンの仕入れる量も費用も約2倍になりますが、当院での料金は昨年と同じにすることにしました。☆当院で2回接種する人は、1回目が3,000円、2回目は2,000円(total 5,000円)、1回だけの人は、3,000円です。
*今年は、平日に加え、10月23日(日)と11月13日(日)の各日曜午前中と、10月12(水)、14(金)、19(水)、21(金)、26(水)、28(金)、11月4(金)、9(水)、11(金)、16(水)、18(金)の夜間6時30分~7時まで時間外のインフルエンザの予防接種を行う予定です。
※先程入ってきたメールで知ったのですが、インフルエンザワクチンを製造している1社のワクチンが出荷不適当になりそうです。私の注文しているワクチンとは異なるのですが、卸間で数量調整をするという話?があるようです。もしそうなるとワクチンは明らかに不足します。上記時間外の予防接種も、こちらの希望するワクチン量が確保できての話になります。今年はできるだけ早めの接種をお勧めします。
風しん感染の増加
先日、「うちの子ども風しんじゃないですよね」と尋ねられたお母さんがいましたが、風しん増加のニュースをご存じだったのでしょうね。幸い、今年当院ではまだ子どもの風しんは診ていませんが。国立感染症研究所の報告によると、風しんが過去3年間で最も多い値で推移していることがわかったとのことです。男性が女性の3倍以上で、男性では20-40代が全体の約8割を占めています。職場で感染した夫から、妻や子どもへの感染も報告されているとのことで、先天性風疹症候群(※参照)の増加が心配されます。感染が最も多いのは、福岡県です。鹿児島、博多間の新幹線開通で人の移動も多いことが予想され、九州各県に感染が拡大しなければいいのですが。
☆風しんは予防接種で95%防げると言われています。風しんや麻しんの予防接種を1回しか受けていない世代では、感染を防ぐ力(抗体価)が、低くなっている可能性があります。もう一度受けると抗体価を高めることができます。
※先天性風しん症候群:風疹ウイルスによる胎内感染で、児に 小頭症、白内障、、緑内障、先天性心疾患、感音性難聴などが生じます。特に妊娠12週以内までに感染した場合に発症する可能性が高いと言われています。
☆風しんは予防接種で95%防げると言われています。風しんや麻しんの予防接種を1回しか受けていない世代では、感染を防ぐ力(抗体価)が、低くなっている可能性があります。もう一度受けると抗体価を高めることができます。
※先天性風しん症候群:風疹ウイルスによる胎内感染で、児に 小頭症、白内障、、緑内障、先天性心疾患、感音性難聴などが生じます。特に妊娠12週以内までに感染した場合に発症する可能性が高いと言われています。
ガーダシル
ガーダシルという子宮頸がんワクチンが、本日より公費助成の対象になりました。我が国では、サーバリックスが先行発売されましたが、国際的にはガーダシルの方が3年ほど早く誕生し、世界的シェアも約9割を占めています。
大きな違いは、サーバリックスがヒトパピローマウイルス16型と18型感染に起因する疾患(子宮頸がんとその前駆病変である子宮頚部上皮内腫瘍2,3)の予防(いわゆる2価ワクチン)ができるのに対して、ガーダシルはヒトパピローマウイルス16型、18型に加え、6型、11型に起因する疾患(外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍と尖圭コンジローマ)の予防(いわゆる4価ワクチン)ができます。
また、サーバリックスのアジュバンド(免疫を高める作用を持つ)は、新しく開発されたもので、抗体価をあげる力は強くなっていますが、その分、局所の反応(注射部位の疼痛や紅斑、腫脹)がガーダシルよりも頻度が高い傾向があります(承認時の国内臨床試験の結果)。接種回数はどちらも3回ですが、2回目がサーバリックスでは初回の1ヶ月後、ガーダシルでは初回の2ヶ月後と異なります。
一長一短あるようです。詳しい比較表は、院内に準備しています。ただ、1回目にサーバリックスをされた方は、2回目以降もサーバリックスを、1回目にガーダシルを受けた方は、2回目以降もガーダシルを受けないと公費助成の対象になりませんので御注意ください。
大きな違いは、サーバリックスがヒトパピローマウイルス16型と18型感染に起因する疾患(子宮頸がんとその前駆病変である子宮頚部上皮内腫瘍2,3)の予防(いわゆる2価ワクチン)ができるのに対して、ガーダシルはヒトパピローマウイルス16型、18型に加え、6型、11型に起因する疾患(外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍と尖圭コンジローマ)の予防(いわゆる4価ワクチン)ができます。
また、サーバリックスのアジュバンド(免疫を高める作用を持つ)は、新しく開発されたもので、抗体価をあげる力は強くなっていますが、その分、局所の反応(注射部位の疼痛や紅斑、腫脹)がガーダシルよりも頻度が高い傾向があります(承認時の国内臨床試験の結果)。接種回数はどちらも3回ですが、2回目がサーバリックスでは初回の1ヶ月後、ガーダシルでは初回の2ヶ月後と異なります。
一長一短あるようです。詳しい比較表は、院内に準備しています。ただ、1回目にサーバリックスをされた方は、2回目以降もサーバリックスを、1回目にガーダシルを受けた方は、2回目以降もガーダシルを受けないと公費助成の対象になりませんので御注意ください。
地域医療と予防接種(パネルディスカッション)
前回の続きですが、特別講演の後に『予防接種の現状と課題』というテーマでパネルディスカッションが約2時間程ありました。自分なりの簡単なまとめを以下に記します。
最初に母親の立場から「命を守る~予防接種体制の充実を~」と題してUMKテレビ報道キャスターの榎木田朱美さんの発表
・宮崎県における予防接種の地域格差。
・子どもの健康に不公平があってはならない。
・予防接種は市町村単位でなく、県、国が責任も持って行ってほしい。高知県では、県内のすべての子どもが、全額公費負担で予防接種ができている。
次に「接種スケジュールと同時接種」と題して三宅和昭Drが発表。
・Hibによる髄膜炎は生後6~8ヶ月に発症のピークがあるが、ワクチンの効果がすでに現れ始めている。
・同時接種は決して特殊ではない。
三種混合ワクチンやMRワクチンですでに複数のワクチンを接種している。
治療の面でも例えば抗生剤や抗ガン剤を同時に注射したりすることは珍しいことではない。
・同時接種後の死亡=同時接種による死亡ではない。接種事故後に減った同時接種が徐々に増えてきて一部の組み合わせでは事故前に戻った。
3人目は「一診療所での予防接種の現状と問題点」と題して田代慎二郎Drの発表。
・生後2ヶ月の赤ちゃんを百日咳による無呼吸発作で救急搬送した経験を踏まえ、医療資源の乏しい田舎であればあるほどワクチンで予防できる病気は予防することが重要と予防接種に力を入れ、外来での予防接種勧奨にスタッフ一同で取り組み、3人に2人は同時接種をしている。
・県北では、行政(町)で予防接種に対する対応がかなり異なる。
4人目は「病院小児科から見える問題点」と題して弓削昭彦Drの発表。
・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、予防接種で95%の抗体陽性率がある防げる病気なのに、今年既に難聴を合併したケースを2例経験した。治療はほぼできないと考えていい。流行性耳下腺炎では、1,000人に1人(400人に1人という人も)難聴を合併する。予防接種をして流行性耳下腺炎にかかったとしても、軽くですんだり、髄膜炎の合併も1/10に減り、周囲への感染の危険性も減る。
・ロタウイルスは、脱水での入院だけでなく、脳炎がこわい。2例のロタウイルスによる脳炎を経験したが、1人は亡くなり、もう1人は重度の後遺症が残ってしまった。
・Hibによる髄膜炎の診断はかなり困難。(実際のケースの発表)。予防接種をしていれば防げたのにという悔しい思いはもうこれ以上したくない。入院した子どもの予防接種歴を把握し、接種を勧奨している。
・どこかは忘れたが、子どもの医療費を全額無料にした所と子どもの予防接種を全額無料にした所との比較があったが、医療費を無料にした所は、医療費は増えるわ、病院は疲弊するわで結局破綻。予防接種を全額無料にした自治体は病気も減って医療費削減にも成功したという報告をきいた。
最後に「接種率の向上を目指して」と題して米澤真理子保健師が発表。
・母子手帳の改良に取り組み、「親子健康手帳 つぐみ」を作った。つぐみセットで、小学校にあがるまでの健診や予防接種(任意のものも含め)をまとめてわかりやすくした。
・予防接種を受けそこねないよう、定期的に連絡するシステムを作り、受けてない場合、生後5~6ヶ月で家庭を訪問して予防接種や健診をすすめている。
・宮崎市では、23%が生後2ヶ月で予防接種を開始し、7割近くは日本脳炎を3歳未満で開始している。
(パネラーから沖縄で1歳の子どもが日本脳炎を発症した、日本脳炎の接種を3歳まで待つ必要性はないとのコメント)
*米澤さんは、私が宮崎生協病院小児科時代に行った喘息児サマーキャンプにボランティアとして参加してくれた看護学生さんでした。宮崎市の保健所で母子保健に関わって十数年とのこと。子どもに携わる仕事に頑張っていてくれたのだと、ほんとに久しぶりのうれしい再会でした。
以上、聞き違い等あるかもしれませんが、セミナーのご報告です。子どもたちが健やかに育ってほしいという熱い思いが伝わるとてもいいセミナーでした。
最初に母親の立場から「命を守る~予防接種体制の充実を~」と題してUMKテレビ報道キャスターの榎木田朱美さんの発表
・宮崎県における予防接種の地域格差。
・子どもの健康に不公平があってはならない。
・予防接種は市町村単位でなく、県、国が責任も持って行ってほしい。高知県では、県内のすべての子どもが、全額公費負担で予防接種ができている。
次に「接種スケジュールと同時接種」と題して三宅和昭Drが発表。
・Hibによる髄膜炎は生後6~8ヶ月に発症のピークがあるが、ワクチンの効果がすでに現れ始めている。
・同時接種は決して特殊ではない。
三種混合ワクチンやMRワクチンですでに複数のワクチンを接種している。
治療の面でも例えば抗生剤や抗ガン剤を同時に注射したりすることは珍しいことではない。
・同時接種後の死亡=同時接種による死亡ではない。接種事故後に減った同時接種が徐々に増えてきて一部の組み合わせでは事故前に戻った。
3人目は「一診療所での予防接種の現状と問題点」と題して田代慎二郎Drの発表。
・生後2ヶ月の赤ちゃんを百日咳による無呼吸発作で救急搬送した経験を踏まえ、医療資源の乏しい田舎であればあるほどワクチンで予防できる病気は予防することが重要と予防接種に力を入れ、外来での予防接種勧奨にスタッフ一同で取り組み、3人に2人は同時接種をしている。
・県北では、行政(町)で予防接種に対する対応がかなり異なる。
4人目は「病院小児科から見える問題点」と題して弓削昭彦Drの発表。
・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、予防接種で95%の抗体陽性率がある防げる病気なのに、今年既に難聴を合併したケースを2例経験した。治療はほぼできないと考えていい。流行性耳下腺炎では、1,000人に1人(400人に1人という人も)難聴を合併する。予防接種をして流行性耳下腺炎にかかったとしても、軽くですんだり、髄膜炎の合併も1/10に減り、周囲への感染の危険性も減る。
・ロタウイルスは、脱水での入院だけでなく、脳炎がこわい。2例のロタウイルスによる脳炎を経験したが、1人は亡くなり、もう1人は重度の後遺症が残ってしまった。
・Hibによる髄膜炎の診断はかなり困難。(実際のケースの発表)。予防接種をしていれば防げたのにという悔しい思いはもうこれ以上したくない。入院した子どもの予防接種歴を把握し、接種を勧奨している。
・どこかは忘れたが、子どもの医療費を全額無料にした所と子どもの予防接種を全額無料にした所との比較があったが、医療費を無料にした所は、医療費は増えるわ、病院は疲弊するわで結局破綻。予防接種を全額無料にした自治体は病気も減って医療費削減にも成功したという報告をきいた。
最後に「接種率の向上を目指して」と題して米澤真理子保健師が発表。
・母子手帳の改良に取り組み、「親子健康手帳 つぐみ」を作った。つぐみセットで、小学校にあがるまでの健診や予防接種(任意のものも含め)をまとめてわかりやすくした。
・予防接種を受けそこねないよう、定期的に連絡するシステムを作り、受けてない場合、生後5~6ヶ月で家庭を訪問して予防接種や健診をすすめている。
・宮崎市では、23%が生後2ヶ月で予防接種を開始し、7割近くは日本脳炎を3歳未満で開始している。
(パネラーから沖縄で1歳の子どもが日本脳炎を発症した、日本脳炎の接種を3歳まで待つ必要性はないとのコメント)
*米澤さんは、私が宮崎生協病院小児科時代に行った喘息児サマーキャンプにボランティアとして参加してくれた看護学生さんでした。宮崎市の保健所で母子保健に関わって十数年とのこと。子どもに携わる仕事に頑張っていてくれたのだと、ほんとに久しぶりのうれしい再会でした。
以上、聞き違い等あるかもしれませんが、セミナーのご報告です。子どもたちが健やかに育ってほしいという熱い思いが伝わるとてもいいセミナーでした。
地域医療と予防接種(特別講演)
昨日宮崎市医師会館で行われたセミナーは、内容の濃い、とてもいいものでした。特別講演『予防接種の必要性と恩恵』と題して薗部友良Dr(日本赤十字社医療センター小児科顧問)が最初に63枚のスライドを使って話されました。そのなかで、印象に残ったことを自分なりに整理してみました。
・小児ガンでさえ7-8割は治癒する時代に、ワクチンを受けさえすれば防げたであろう病気(VPD)で健康を損ねたり、死亡する例が後を絶たない。
・主な任意接種ワクチンのVPD被害の推定 毎年
おたふくかぜ:死亡1人、脳炎30人、難聴600人
水痘:死亡15名前後、入院2~3,000人
ヒブと肺炎球菌:髄膜炎で約30人が死亡、後遺症150人以上、髄膜炎以外の重い病気も多い
子宮頸がん:15,000人が罹患し、うち3,500人が死亡
インフルエンザ:脳炎数百人、死亡多数
B型肝炎:年間約500名で、肝硬変、肝ガン
ロタウイルス:死亡約10名、脳炎40名
・厚労省は有害事象報告を副反応報告と呼ぶが、有害事象と副反応とは違う。
有害事象には真の副反応と偶発紛れ込み事故の両者を含む。この混同による誤解と、国が国民をVPDから守ろうとする意志(ポリティカルウイル)の欠如、VPDの被害を最小限にする制度(無過失補償制度と免責制度の導入、日本版ACIPの確立)の欠如が日本での予防接種が世界に遅れをとっている一因。
・予防接種は医療費削減に貢献できる
*アメリカでは大統領が毎年予防接種を推進したために、VPD患者数、および被害がこれだけ減り、直接医療費と間接医療費もこれだけ減ったと述べる。
・ロタワクチンも導入され、生後6ヶ月までに接種するワクチンが多いので、子どもをVPDから守るためには、生後2ヶ月からの接種が大切で、同時接種は必須。
最後に「VPDの会」に入って皆で子どもを守りましょうと締めくくられました。そのあとのパネルディスカッションについては、次回に回します。
*児湯郡からも町の予防接種を担当をされている方が、宮崎まで足を運んでくださいました。とてもうれしかったです。
・小児ガンでさえ7-8割は治癒する時代に、ワクチンを受けさえすれば防げたであろう病気(VPD)で健康を損ねたり、死亡する例が後を絶たない。
・主な任意接種ワクチンのVPD被害の推定 毎年
おたふくかぜ:死亡1人、脳炎30人、難聴600人
水痘:死亡15名前後、入院2~3,000人
ヒブと肺炎球菌:髄膜炎で約30人が死亡、後遺症150人以上、髄膜炎以外の重い病気も多い
子宮頸がん:15,000人が罹患し、うち3,500人が死亡
インフルエンザ:脳炎数百人、死亡多数
B型肝炎:年間約500名で、肝硬変、肝ガン
ロタウイルス:死亡約10名、脳炎40名
・厚労省は有害事象報告を副反応報告と呼ぶが、有害事象と副反応とは違う。
有害事象には真の副反応と偶発紛れ込み事故の両者を含む。この混同による誤解と、国が国民をVPDから守ろうとする意志(ポリティカルウイル)の欠如、VPDの被害を最小限にする制度(無過失補償制度と免責制度の導入、日本版ACIPの確立)の欠如が日本での予防接種が世界に遅れをとっている一因。
・予防接種は医療費削減に貢献できる
*アメリカでは大統領が毎年予防接種を推進したために、VPD患者数、および被害がこれだけ減り、直接医療費と間接医療費もこれだけ減ったと述べる。
・ロタワクチンも導入され、生後6ヶ月までに接種するワクチンが多いので、子どもをVPDから守るためには、生後2ヶ月からの接種が大切で、同時接種は必須。
最後に「VPDの会」に入って皆で子どもを守りましょうと締めくくられました。そのあとのパネルディスカッションについては、次回に回します。
*児湯郡からも町の予防接種を担当をされている方が、宮崎まで足を運んでくださいました。とてもうれしかったです。
臨時休診のお知らせ
明日9月10日(土)は、午前診療のみで、午後の診療は休診とさせていただきます。というのもその時間に『地域医療と予防接種』というセミナーが宮崎市で行われます。薗部 友良先生{日本赤十字社医療センター顧問であり、VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会代表}の『予防接種の必要性と恩恵』と題して特別講演が予定されています。その座長を仰せつかっている関係で、午後1時過ぎには病院を出なければなりません。大変ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。特別講演の後、母親や、診療所、病院、保健所関係者をパネラーに迎えて『予防接種の現状と課題』というテーマでパネルディスカッションも行われます。セミナーの内容は後日、このブログにて報告する予定でいます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い致します。
火曜日の予防接種
8月23日(火)曜日午後1時30分から准看護学校の講義で、毎週火曜日の乳児健診・予防接種の時間がつぶれています。昨日第3回目の講義を終えましたが、あと4回講義が残っています。前にも書きましたが、最近Hibや肺炎球菌ワクチン、日本脳炎、子宮頸がんワクチンなどの予防接種が増えており、火曜日の午後がつぶれると火曜日の通常の診療時間や他の曜日にしわ寄せが来ている状況です。そこで、診療時間の一部変更を行うことにしました。来週の9月13日(火)、20日(火)、27日(火)、と最終講義のある10月4日(火)は、午後2時40分から午後3時20分まで、予防接種の時間に当てたいと思います。どうぞ、御利用ください。来年度はこの経験を踏まえ、最初から予防接種の時間を確保するようにしていくつもりです。
日本小児科学会宮崎地方会
昨日、宮崎市で小児科学会がありました。10個の演題が発表されました。そのなかで、興味を引いたのは宮崎市小児診療所の木許先生が発表された「当科で経験した軽症胃腸炎に伴う35例の検討」という演題でした。胃腸炎にともなうけいれんは、群発し、普通のけいれん止めが効きづらいというのは知られていたのですが、入院に至ったケースをまとめておられ、我々小児科にとって有益な情報が得られました。消化器症状出現後、平均2.1日でけいれんを発症し、平均年齢は1歳6ヶ月で、全例3歳未満。けいれんが1回で収まらないケースが83%あり、けいれんは群発傾向を示しています。原因ウイルスが同定できた29例の内訳は、48%がロタウイルス、41%がノロウイルスということで、冬期に子ども達を悩ませる嘔吐下痢症の代表的なウイルスでした。嘔吐下痢による脱水で入院するケースも多く、小児の急性脳炎・脳症の原因の第3位にあげられるロタウイルスですが、この秋、ロタウイルス感染を予防するワクチンが発売されます。重症ロタウイルス胃腸炎の発症を92%予防すると言われているワクチン。乳児限定の飲むワクチンです。できるだけ多くの乳児がこの恩恵を受けることが出来るような価格設定であるといいのですが。WHOは、このロタウイルスワクチンもすべての子どもの定期接種とするよう推奨していますが、ワクチン後進国の日本で定期接種化される可能性は??
長月
9月は旧暦の月名(和風月名)では長月。夜が長い月というのが由来?それにしても今回の台風はとてもゆっくりと進んでいますね。それでも今日は久しぶりにお日様がのぞき気持ちのいい朝でしたね。9月といってもまだまだ昼間は暑いので、普段窓を開けているのですが、台風が接近する前夜の突然の雨にはびっくり。思ってもいなかったので、『雨っー』という声にあわてて寝室に駆け上がりましたが、間に合わず。寝具が濡れる羽目に。「女心(男心という声も)と秋の空!?」油断大敵ですね。夏の間は、眠っている時にどうしても汗ばみますが、起きた時にどうもそのじとっとした皮膚感覚が嫌で診察前にシャワーをあびるのが習慣になっていました。しかし、9月の声を聞いたとたんに朝のシャワーも少しひんやりと感じてきました。そろそろこの習慣もおわりかな。
季節が良くなるにしたがって、外来も落ち着いています。ただ、予防接種だけは皆様の意識の高まりか、今までになく多い日が続いています。来月からは、インフルエンザの予防接種も始まります。当院では、9月24日(土)から予約開始。10月1日(土)から接種開始の予定です。
季節が良くなるにしたがって、外来も落ち着いています。ただ、予防接種だけは皆様の意識の高まりか、今までになく多い日が続いています。来月からは、インフルエンザの予防接種も始まります。当院では、9月24日(土)から予約開始。10月1日(土)から接種開始の予定です。
防災の日
今日、朝から消防車やパトカーが駅の方に向かってサイレンを鳴らしながら何台も病院の前の道路を通っていきました。あぁ、今日は防災の日だから、訓練なのかなと思っていたら、なんと駅のトイレのぼやだったそうです。駅のトイレのぼやと聞いてタバコの火の不始末?と思わず聞いてしまいましたが、漏電だったそうです。私も中学生の頃、私の子ども部屋でぼや騒ぎがありました。登校しているときに火事とのことで家に帰ってみると、勉強机の周りが焼け、本棚に置いていた教科書類もダメになっていました。警察の人から最初に聞かれたのは、『タバコ吸ってない?』でした。もちろんタバコなんて吸ってなかったので、キッパリ否定しましたが。結局、充電式のライトのさしっぱなしが原因でした。そんなことを思い出した一日でした。さしっぱなしのコンセントにほこりがたまって失火することがあるようです。この夏の節電対策で、こまめにコンセントを抜くのが習慣になった家庭もあるかもしれませんが、大事な習慣ですね。東日本大震災の起こった今、防災意識も高まっているかもしれませんが、もう一度家族で防災について話してみるのも悪くないですね。
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