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プール熱(咽頭結膜熱)

 暑くなってきましたが、最近になってプール熱(咽頭結膜熱)がみられるようになりました。プール熱というと「うちはまだプールには入っていないのに(だからプール熱にかからないのでは)」とか「プールでうつるのですか」とかよく聞かれますが、プール熱はアデノウイルスというウイルスが原因で起こる病気で、せきやくしゃみの飛沫、直接接触や水を介して感染するいわゆるかぜの一種です。結構高い熱が5日前後、長い人だと1週間続くこともあります。結膜炎も結構長引くことがあります。学校保健法で伝染病に指定されており、主な症状がなくなって2日間は登校や登園ができませんのでご注意を。

セアカコケグモ

 宮崎ではセアカゴケグモの仲間のハイイロゴケグモは見つかっていましたが、毒性の強いセアカゴケグモも6月22日新名爪で見つかりました。腹部背面中央には赤又は橙色の縦斑紋があります。大阪などでは公園内のブロックの隙間、墓石の隙間、道路側溝の蓋の裏などから発見されています。強い毒を持っていますが、素手で触らない限り咬まれることは有りません。が、咬まれると激しい痛みととももに、局所の腫れ、めまい、嘔吐などの局所症状のほか、時には血圧の上昇、呼吸困難などの全身症状が現れることもあります。万が一咬まれたら、余分の毒を温水や石けん水で洗いおとしましょう。そして、できるだけ早く皮膚科等専門病院に行って治療を受けることが大切です。写真や啓発用のポスター等を下記のアドレスでみることができますよ。
http://www.pref.osaka.jp/kankyoeisei/sumai/2seaka/image/se_gekkan.pdf
*2007年12月号の当院『すこやか通信』【診察室から】にセアカコケグモについて書いていました。日本では1995年に大阪で初めて見つかった人体に悪影響を持つ特定外来生物ですが、この頃から全国で問題になり始めたのかなぁ。

5種混合ワクチン

先日海外に赴任されていた方のお子さんが、日本脳炎の予防接種を希望されてみえました。母子手帳を見ると、みたことのない記号が。先月受けられた予防接種は何ですか?と尋ねたら、なんと5種混合ワクチンでした。5種とは、三種混合(百日咳+ジフテリア+破傷風)+Hibワクチン+ポリオの5つでした。MMRV(麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘)をしている国もあります。現在、当院でも三種混合とHibワクチン、水痘とおたふくかぜなど、同時接種されるお子さんがいらっしゃいますが、2回痛い思いをしないといけません。日本でも一度に多くの予防接種を受けることができるようになるといいなぁとつくづく思いました。
 ※武田薬品が、ノバルティス製Hibワクチンの国内における独占的開発および企業化に関する権利と、同ワクチンを用いた各種混合ワクチンの全世界における開発、製造および企業化に関する権利を先月末に獲得したので、国内での4種混合ワクチンも夢ではなくなるかもと淡い期待を抱いています。

チャイルドシート使用率

 宮崎のチャイルドシートの使用率は、39.5%で全国平均の54.8%を大きく下回っていることが、JAFと警察庁の合同調査で分かりました。全国的には昨年よりやや延びたようですが、ベルトの締め付けが弱いなど不適切なケースも6割強をしめているとのことで注意が必要です。年齢別にみると1歳未満の乳児の使用率は78.6%(全国平均77.3%)で、1~4歳で43.1%(同57.2%)、5歳で23.8%(同32.0%)と年齢が上がるにつれて使用率が下がっているようです。兄弟が多くなるとチャイルドシートをつけるのが経済的にも物理的にも大変になのはよくわかります。チャイルドシート不使用の場合違反点数が1点とのことですが、いざという時の命には代えられません。昨年の交通事故による乳幼児の死傷は1万307人、亡くなった子どもが16人、うちシートベルト不使用は12人だったそうです。かくいう私も事故の経験がありますが、シートベルトのおかげで助かりました。チャイルドシートの使用はもちろん、一般道でも乗員みんなでシートベルト着用を!

今シーズンのインフルエンザワクチン株

 ついに宮崎でも新型インフルエンザが確認され,発熱外来が設置されました。感染者は32都道府県にまたがり、700人を越えています。熱が出たからといって慌てる必要はありませんが、不安な方は発熱相談センター(0120-793-089)に電話して指示を仰いでくださいね。
 さて、インフルエンザのワクチンについてですが、季節性のインフルエンザワクチンの製造株が発表になりました。今年の製造株は以下の通りです。
 Aソ連型:A/ブリスベン/59/2007(H1N1)
 A香港型:A/ウルグアイ/716/2007(H3N2)
    B型:B/ブリスベン/60/2008
 昨年度の製造株からB型のみ変更になっています。
ちなみに、記号の読み方 A/ブリスベン/59/2007(H1N1) 最初の A はウイルスの型、ブリスベンはウイルスが見つかり分離された地名、59は同じ土地で同じ年に、複数のウイルスが検出分離された時、59番目に分離されたという意味。H1N1:ソ連型、H3N2:香港型、H2N2:アジア型
 今月いっぱいで、昨年の7~8割のワクチンが製造されます。そして、7月からは新型インフルエンザ用のワクチン製造にとりかかるそうです。新型インフルエンザワクチン2,500万人分の接種対象をどのようにするか、詰めるべき問題が多々ありそうですが、いつもの季節性インフルエンザの本数も昨年の8割にとどまるところから、各医療機関に納入されるワクチンの数も昨年実績を考慮して、昨年の7割にとどまるかもと薬の卸の方からいわれています。いつもは7月から始まる製造会社への予約ですが、先月末から意向を打診してきているところも出てきています。インフルエンザワクチンが足りなかった数年前の騒動が思い出されます。新型インフルエンザの発生もあり、今年の冬は例年以上に大変な年になりそうです。

N95マスク

 鹿児島で新型インフルエンザ感染者がでましたね。最初は隣県の鹿児島で出たらそろそろ宮崎も危ないかななんてまだまだ人ごとだったのですが、ニュースでその男性が高鍋にも立ち寄っているとなってから状況が一変。インフルエンザ様の患者を診察する際は、マスク等の感染防御を行いながら、A型陽性の場合は保健所に連絡をと医師会からの緊急FAXが。急遽、朝からスタッフ全員マスク着用で診療へ。私自身もマスクをしての診療は開業以来初めての出来事です。この冬の本番に備えて、今回は備蓄していたN95マスクを着用。昨日来院された方はびっくりされたことでしょう。というよりもカモノハシのように見えるマスク姿に、笑いをこらえている方の方が多かったかな。出入りの業者さんも『どうしたんですか!?』とびっくりしてました。
 さて、N95マスクは私自身も初めて使用しました。N95はフィルターで最も捕集しづらい、つまりフィルターを通過しやすいサイズの試験粒子(約0.3μmの粒子)を95%以上捕集できるマスクです。性能が良い分、装着感は正直よくありません。息苦しい感じです。この冬インフルエンザが流行したらこのマスク姿で2,3ヶ月診療するのかと思うと今から気が重くなりました。高鍋で二次感染者がでないことを心の底から願ってます。診療が終わってマスクを外した時の開放感は格別でした。

帚木蓬生の本

 私が初めて帚木蓬生の本に出会ったのは、九大大学院で酵素化学を学び、将来どうしようかなと悩んでいた時期でもありました。「白い夏の墓標」という本です。各章の表題がウイルスの生態を示しており、ワクワクしながら読んだのを思い出します。同じ大学出身の精神科医の書いた本と言うことも興味を引き、医学の道へ進んでからも彼の本を読んできました。なかでも『逃亡』『ヒトラーの防具』は量、内容とも読み応えがあったのを覚えています。さて、最新作「風花病棟」 新潮社 本体1,500円も良かったです。10人のDrと患者が紡ぎ出す短編集。博多弁も『懐かしかー』。本の帯に〈壊れそうな医者の心を、患者が救うこともある〉とありますが、信頼されれば、それに応えようとするのが人間、医師と患者がよりよい関係を築けば、医療はもっともっと良くなるという希望を抱かせてくれます。
 ☆待合に『となりのせきのますだくん』 武田美保 作・絵 ポプラ社 仲間入りします。また、人気があって破けてしまった『はらぺこあおむし』 エリック・カール作 偕成社 も今度は手にしやすい小さいサイズにしてみました。

タミフルと異常行動

新型インフルエンザの警戒レベルが、フェーズ6に上げられそうな状勢のようです。さて、先日タミフルと飛び降りなど異常行動の因果関係を検証する厚労省の作業部会は、2006年~2007年までのインフルエンザと診断された18歳未満の患者約1万人の分析をしたところ、服用と異常行動に統計上、意味のある関連はなかったと今月3日に報告しました。また、2008年~2009年の流行期に生死に関わる重大な異常行動が179件報告されましたが、服用した患者と服用しない患者はいずれも約4割で差はなかったということです。しかし、その一方で「薬が異常行動の危険を高める可能性を完全に否定できない」として、タミフルの10代患者への処方制限は継続すべきだと結論づけました。何のための作業部会? 統計的に差はなかったという事は、科学の世界では普通因果関係はないということで終わるはず。しかし原則10代には処方するな。でも新型インフルエンザ(今回のは季節性のインフルエンザとほとんど毒性は変わらないと言われているのに)には効くから使ってもかまわない!?何ともすっきりしない調査で、こんな研究なら貴重な税金を使ってする必要があるのかななんて思ってしまいます。
 実際の現場ではこの冬が心配。季節性のインフルエンザと新型インフルエンザの混在が十分あり得ますから。しかし、新型インフルエンザの診断は、現時点ではクリニックレベルではできません。通常のインフルエンザ迅速検査でA型陽性だったら、その時点で保健所に届け出てそれから詳しい検査になります。この冬A型のインフルエンザにかかったら患者さんも病院も大変だー。

百日咳に注意!

 当ブログ4月29日付けで「百日咳の増加」のことを書きましたが、先月から今月にかけ、児湯管内でも例年になく百日咳がみられています。三種混合をしっかり接種した子どもでも罹患しています。ひどい咳が続いている方は、熱がなくても医療機関を受診してください(通常、合併症のない百日咳は熱がありません)。「咳だけで熱がなかったので」と、受診されるタイミングが遅い方もおられるようです。その間に周囲に感染を拡大している可能性があります。ご注意くださいね。
 さて、新型インフルエンザの報道もかなり減り、少し落ち着いた感がありますが、国内では6月5日現在、1都、2府、13県に及び、計402例の発生があります。
 そんな中、国内感染確認後の新型インフルエンザのパンフレットが厚生労働省から出ました。印刷したものを待合に出しましたので、まだ宮崎では発生していませんが、流行していない今ゆっくり目を通しておいてください。冬に入る南半球では、季節性のインフルエンザよりも新型インフルエンザの比率の方が高くなっているとの報道もあります。この冬が正念場かもしれません。まだ発生していない宮崎でも,マスク等手に入りにくくなっています。いざ流行しだしてからでは間に合いません。皆の関心も下火になってきた今,この冬に対する備えをしておきましょう。*厚労省の同じサイトにおもしろいものを見つけました。それは《新型インフルエンザパンフレットカードゲーム》なるサイトです。http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/14.pdf カードゲームをしながら新型インフルエンザの知識を身につけようというような趣旨でしょうか。

奇跡の脳

 『奇跡の脳』 ジル・ボルト・テイラー著 竹内薫 訳 新潮社 本体1,700円。ハーバード医学校で脳神経の研究をしながら若い専門家にも教えていた脳科学者である著者自身が脳卒中になってしまいます。そこからの回復の過程を科学者の目で書いた初めての本といってもいいのではないでしょうか。
日本では、脳卒中の患者さんが約147万、年間13万人の方が無くなっている病気(現時点で死亡原因の第3位)で、人ごとではありません。身内に脳卒中を起こした人が出た時に、そのリハビリのためにもとても役立つと思います。リハビリの過程で、著者はマイナスの思考や感情をできるだけ遮断することを習得していきますが、これは生活の質をアップするための誰にでもあてはまるいい方法だと思います。右脳と左脳の違い等科学的読み物としてもおもしろいのでは。
☆加古里子さんの子どもから大人まで楽しめる〈科学絵本シリーズ〉を待合の本棚に加えました。
『人間』 福音館書店 本体1,500円。40億年の生物の歴史とを刻み、かつこれからも発展する余地を蓄えている人間のすばらしさを味わってください。
『かわ』 福音館書店 本体800円 ひらがなで書かれています。描写がとても細かいです。
*6月7日(日)は、休日在宅医です。休日在宅医の際の診療は午前9時~12時、午後2時~5時です。