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インフルエンザQ&A

 インフルエンザの予防接種が始まり、皆様からいろいろ質問を受けることがあります。その代表的なものをあげてみます。
Q1:1歳以下でも受けることができますか?
  A1:当院では希望されれば、生後6ヶ月以上から接種しています。
Q2:いつ頃受けたらいいですか?
  A2:流行のはじまる前の10月下旬から、遅くとも12月初旬には2回目を終えるのがいいでしょう。
Q3:薬を飲んでいたら、受けることはできませんか?
  A3:体調のいいときに受けることが原則ですが、ちょっとした咳や鼻水、ぜん息や鼻炎、中耳炎
    の加療中等、診察して受けることができる場合もあります。ご相談ください。
Q4:卵アレルギーがあると受けることはできないのですか?
  A4:インフルエンザワクチンについては、卵アレルギーは接種不適当者(接種できない)ではな
    く、接種要注意者(医師と相談の上で決める)です。当院では多くの卵アレルギーの方が
    接種できています。
Q5:授乳していますが、受けることができますか?
  A5:可能です。
☆お知らせ:11月からは平日の診療時間内に受けることができない方のために
11月の16日、30日、12月7日の各日曜日の午前中および
11月の19(水), 21(金), 26(水),28(金)
12月3(水)、5(金)、10(水)、12(金)、17(水)、19(金)の午後6時半から7時の夜間帯
にインフルエンザの予防接種を行います。

読書と漫画

 「漫画ばかり読んで、少しはまともな本を読みなさい!」なんて、よく聞く言葉ですし、よく言われた言葉でした。私は、子どもの頃から結構いろんな本を読むのが好きでした。小さい頃はご多分に漏れず、おまけ付きの雑誌や、漫画、小学校の高学年からは、文学全集に夢中になり、中学ではブルーバックスで科学に目覚め、吉川英治の宮本武蔵になりきり、大学に入ると推理小説の虜に。卒業すると子どもに関わる本がそれに加わりました。それでは、年齢と共に漫画は卒業したかといえば、決してそんなことはありません。コンスタントに読んできたように思います。ただ、読む漫画の種類は変わってきました。大学時代は、「漫画家残酷物語」「花いちもんめ」で有名な永島慎二の漫画に惚れ込み、まだインターネットでの買い物も普及していかなかった時代、彼の著作を求めて本屋さん巡りをしたこともありました。小説には自分の頭の中で主人公を含め想像する楽しみがあります。漫画には漫画でしか表せないような、視覚からストレートに心に響いてくることもあるように思えます。今回読んだのは、当院の小山看護師に紹介してもらった戸部けいこさんの「光とともに・・・」という本です。“自閉症児を抱えて”という副題が付いています。自閉症児の光君とその家族、そして彼に関わる人たちの成長物語といってもいいでしょうか。自閉症という病気を知る上でも、障害と共に生きるとはどういうことか、それを支えるとはどういうことかといったことを知る上でもこの上ない本です。また、障害の有無に関係なく夫婦や家族のあり方も考えさせられます。漫画で書かれているので小学生高学年であれば親子で読んで話題を共有できますよ。もちろん御夫婦間の話も弾むかな。平成13年に初版が発行され、なんと今も連載が続いており、現在13巻まで単行本化しています。この本は希望者に貸し出します。受付におっしゃってください。

病院の言葉

『「病院の言葉」を分かりやすくする提案(中間報告)』が10月21日、独立行政法人国立国語研究所の「病院の言葉委員会」から公表されました。あらためてみると私もそのまま使っていた言葉がありました。反省を込めて、小児科領域で特に関係するかなと思われる誤嚥、ウイルス、ショックをここでとりあげてみます。“誤嚥”は「食べたり飲んだりしようとしたときに,飲食物が食道ではなく気管に入ってしまうこと」です。子どもでは、ピーナツの誤嚥が問題になることが多いです。ピーナツ入りのおやつが増えています。気をつけてくださいね。似た言葉に“誤飲”がありますが、子どもで多いのはタバコやコインの誤飲。これでもわかるように、食べ物以外を食道に入れてしまうことです。次に“ウイルス”ですが、「この熱はウイルスによるものですね」と私もよく言っていました。ウイルスは細菌よりずっと小さく、細菌は自己増殖できますが、ウイルスは他の生物の細胞中で増殖し病気を引き起こします。細菌には抗生剤(抗菌薬)が効きますが、ウイルスには効果がありません。風邪の原因はほとんどがウイルスですね。はしかや風疹、水痘、おたふくかぜ、インフルエンザ等もウイルスです。これらには予防接種がありますね。“ショック”は日常はびっくりしたり、急に衝撃を受けたりする際に使われますが、医学的に使う際は血液の循環がうまくいかなくなって、血圧が下がる、顔面が真っ白になる、脈が弱くなる、意識がうすれるなどの症状が現れ、大変危険な状態をいいます。アレルギー関連でよく耳にする言葉“アナフィラキシーショック” はハチアレルギーの人がスズメバチに刺されたり、そばアレルギーの人がそばを食べたり等、特定の物質がからだの中に入ることによって全身に過剰なアレルギー反応が起こり,短時間で急激に血液の循環がうまくいかなくなり,生命に危険が及ぶ状態になることです。食物依存性運動誘発性アナフィラキシーは、特定の食物を食べた後に運動をすることでこのアナフィラキシーを引き起こしますことをいいます。
 これ以外にも、まだまだ私が意識せずに専門用語を使っていることも多いことと思います。できるだけわかりやすい説明をこころがけ、比較的頻度の高い疾患に関してはパンフレットも用意していますが、わからないときは、遠慮なくおたずねくださいね。
 *ひところよく耳にして未だに意味がわからない言葉 メイクレジェンド?

お米のなみだ

 先日NHKで放映された「お米のなみだ」、ずいぶんと考えさせられるドラマでした。ご飯一杯の値段は、20円。お米を作っていてはやってられないと,毎年7000世帯の農家が農業をやめているという現実に愕然としました。田んぼをつくるのは大変なことのようですが、荒れるのは早いのですね。ドラマは仙台の鳴子温泉のある地域の取り組みを取り上げていました。田園風景の広がる鳴子でも、耕作放棄された田んぼが荒れていって、景観を損ねていたようです。鳴子温泉の魅力は、田園風景の四季のうつろいもその一つだ、自分たちの主食を作ってくれている農家を、地域の「食べ手」がほんの少し高い値段で米を買い取る約束をとり交わし、厳しい環境に置かれた中山間地の米作りを地域の力で支えあおうと地域全体がたちあがります。購入されたお米は学校給食、食堂、そして旅館で出され鳴子を訪れた人に鳴子の米のうまさをアピールしていきます。まさに、地産地消ですね。そして、地元への誇りとその運動に携わる人の誇り、希望が感じられます。また、農家に支払われる代金の一部は、農業後継者の育成のために使われるという未来をも見据えたプロジェクトです。
 田んぼは、水を浄化し、ダムの役目もし(水が張られた田んぼの貯水量は、全国で約81億トン。日本各地に作られている治水ダムの貯水量の実に、3.4倍もあるそうです!)、斜面に作られた棚田は土砂崩れも防ぐそうです。また、さまざまな生物のすみかとしてもかかせません。もっと稲作の重要性をみんなが認識する必要があるようです。
 世界的食糧危機が現実味を増してきている現在、食糧自給率を上げる取り組みとしてだけでなく、自分の住んでいる地域をみんなで支え合う取り組みとして、学ぶべきことは多いように思いました。
 農業に従事している人が、喜びと希望をもっともっと持てるようになるといいですね。お米大好き人間の私も、安全でおいしいご飯が食べられるのは、この上ない幸せ。

RSウイルス感染症

 朝夕冷えてきたせいか、乳幼児にRS(respiratory syncytial)ウイルス感染症が増えつつあります。RS感染症は咳や鼻水、熱等の感冒様症状から、炎症が気管支の方まで及ぶとゼーゼー(喘鳴)を伴い、咳き込んで吐いたり、多呼吸になったり、のどやみぞおちの近くが呼吸のたびにへこんだりする陥没呼吸などの呼吸困難症状をきたし(細気管支炎)、急性肺炎をおこすこともあります。新生児では無呼吸発作を起こすこともあり、救急治療を要することもあります。潜伏期は4-5日で、このウイルスに効く特効薬は現時点ではありません。症状に応じた治療(対症療法)と、咳の程度や呼吸、全身状態をよく観察し、重症化の兆しを早めに見つける事が大事になります。鼻の中の粘膜を綿棒でぬぐった液を使い15分で診断できます。*RSには何度もかかりますが、通常再感染のたびに症状は軽くなっていきます。年長児では軽い風邪程度ですむことが多いので、心配しすぎないでくださいね。

祖父の決断

 中学2年のおいが,私の父のことについて書いた作文を目にする機会がありました。子どもの感性もなかなかのものだと感心しました。以下にその作文を紹介します。
『祖父の決断』
 「僕の大好きな歌手u2のボノは、日本でのコンサートの時、世界人権宣言を日本語でスクリーンに映していた。僕は第一条「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」という文を最近深く考えるようになった出来事があった。それは、僕は毎年お正月と夏休みに母の実家に帰省する。いつも空港に祖父と祖母が車で迎えにきてくれる。手荷物受け取りカウンターで荷物を待ったいる間、僕が祖父と目が合うと「おっ」と手を上げる。僕は照れて頭をちょっと下げる。荷物をとって出ていくと祖母が必ず「おおきくなったね」と笑顔で迎えてくれる。このいつもの空港での出迎えが「あー、帰ってきたんだなあー」と実感する。ところが今年空港に祖父母がいなかった。そのかわりおばさんが迎えてくれた。母に聞いたら「もうじっちゃんは車は運転しないのよ」と言った。「えっ、あんなに車が大好きで運転が自慢なじっちゃんなのに」僕は信じられなかった。何があったのだろうと思った。祖父の家に着くと「帰ってきたか,大きくなったな。迎えに行けなくてごめんね、後で行きたいところにドライブに連れて行ってやるぞ」と、祖父が言うやいなや、祖母から「何言ってるの、運転はもうできないんだから」と強く言われてた。祖父が「車は俺の生き甲斐だ。取り上げてもまた自分で買って運転する」と笑いながら言っていたが、急に祖父が可哀想に思えた。「いいんじゃない、じっちゃんの生き甲斐なんだから。運転させたって」とりあげるなんてひどいとその時は思った。その日の夕食の時テレビで、78歳の運転する車が歩道に突っ込み怪我人が出たという高齢者運転の危険性についてのニュースを見た。もし、祖父が事故を起こし人の命を奪うことがあったら嫌だし、逆に祖父の命が奪われる危険性もあるということだ。大好きな車の運転を他人から強制的に奪われた祖父の身になると、どうにもやりきれない気持ちになった。でも、今祖父は運転をしていない。冗談では僕にすぐにでも運転できると言っているけれど、実際には運転を止めている。みんなが祖父のことを心配してるのは祖父自身が充分にわかっていることだ。車のない生活が不自由なことも。だが、祖父は決断したんだと思う。自分で決断したからこそ,車のない新しい生活の一歩をみんなに支えられ踏み出したのだなぁと思った。運転をする権利、生き甲斐を主張する権利はあるけれども、人は一人では生きていけない。人は支えられて生きているものだと思う。祖父が周りのみんなの気持ちをくみとって不便な生活を決断したということは、とてもすばらしいことのように思う。それは、人としての尊厳を保っているということにつながっているように思えた。次の日朝起きると,祖父は大好きな車をピカピカに磨いていた。何時間もかけて。とても楽しそうに。決して自分が運転することのない車を・・・。」
 決断を迫った側も心苦しいものがありましたが、これをきっかけに私も父の家での両親との同居という決断をしたのでした。
 

経口補水療法

 もう10月、時間が加速度をつけて私のそばを通り過ぎているように感じます。さて、9月最後の夜(9月2個目の台風接近の時)7時半から宮崎市で小児の輸液に関する講演(勉強会)があり、参加してきました。以下にその要点をまとめます。
 吐いたり、下痢したりして脱水になったとき、治療としては経口補水(口から水分を補給する)と点滴(経静脈的水分補給)があります。世界的流れとしては、点滴をできるだけ減らし(点滴は重症のケースに限定)、経口補液が推奨されています。また、脱水が是正されたらすぐに非制限の食事(いつもの食事、ミルク等は薄めない)を始める。絶食期間が短期でも、腸粘膜を萎縮させ、下痢の回復が遅れるというのが、現在の常識!ということです。
 急性胃腸炎での補水の要点を記します。
①下痢(1日3回以上の軟便~水様便)が始まったら、下痢で喪失する水分を経口補水液(ORSと略:薬局で手に入るので常備しておく。スポーツ飲料はダメ)で補う。
 症状出現後の2~4時間で少量(50-150ml)を頻回に与える。総量50-100ml/kg。
 *その際、患者の年齢にあった食事(乳児には母乳、ミルク;ミルクは薄めない!)も与える。
②嘔吐を伴っている場合5mlから開始。
  1) それを吐かなければ、10ml,20mlと5-15分間隔で倍に増量していく。 
  2) 5mlを吐くようなら、15-30分後に5mlを再チャレンジ。それも吐くようなら30分後(吐き始めてから1時間後に)再チャレンジ。そういうふうにトライして、6回吐き続けるなら病院受診。
☆経口補水液の家庭での作り方(量を間違えるといけないので市販のORSを常備しておいた方が無難)
  無塩のトマトジュース300ml+水700ml+塩3g+砂糖40g
 *余談ですが、このORSはスポーツで汗を大量にかいた時もいいですよ。試してみたのですが、スポーツ飲料よりものどのかわきをとめます(というよりも講演会の資料によると、スポーツ飲料は意外と小腸からの吸収が悪い;実験データからは普通の水の方がスポーツ飲料より吸収がいい)。